生活相談員は介護職員のキャリアアップにおすすめの仕事です。
介護福祉士の資格だけでもなれるのか?疑問に思いますよね。
今日は実際に介護福祉士の資格で生活相談員になった私が、なり方やそのメリット・デメリットをお伝えしていきます。
生活相談員の基本的な要件
生活相談員になるには、基本的には社会福祉士・精神保健福祉士の国家資格か、社会福祉士主事任用資格が必要です。
厚生労働省が定める生活相談員の要件
ただし、各自治体(都道府県)の条例で、介護福祉士が生活相談員になれる場合があります。
都道府県別・生活相談員の要件
現在、多くの都道府県で介護福祉士を生活相談員の要件として定めています。
北海道地方
北海道
東北地方
青森県
岩手県
宮城県
- 介護支援専門員
- 通算して3年以上相談援助、看護または介護の業務に従事した経験のある者
秋田県
山形県
福島県(通所介護のみ確認)
- 介護支援専門員
- 介護福祉士(入所または通所系サービス事業所での実務経験が5年以上ある者)
関東地方
茨城県
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
栃木県
- 介護支援専門員(実務経験1年以上の者)
- 介護福祉士(実務経験5年以上の者)
群馬県
- 介護支援専門員(指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員として実務経験が2年以上(実勤務日数360日以上)ある者)
- 介護福祉士
- 社会福祉施設等で2年以上(実勤務日数360日以上)介護または相談業務に従事している者、またはしていた者
埼玉県(求人情報から推測)
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
千葉県
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
神奈川
中部地方
新潟県(通所介護のみ確認)
- 介護支援専門員
- 一定の業務経験を有する介護福祉士
ア)生活相談員業務を行おうとする通所介護事業所において、介護職員としての実務経験が通算3年以上ある者
イ)介護保険サービス事業所において、介護職員としての実務経験が通算5年以上ある者
富山県
石川県(通所介護のみ確認)
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
福井県(通所介護のみ確認)
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
山梨県
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
- 介護保険施設、事業所(福祉用具販売、貸与事業所は除く)において、計画書の作成業務または相談援助業務の実務経験が通算1年以上ある者
- 実務研修修了者のうち、介護保険施設、事業所(福祉用具販売、貸与事業所は除く)において、入所者、利用者の直接処遇に係る業務の実務経験が通算3年以上ある者
長野県
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
岐阜県
- 介護支援専門員
- 介護福祉士(社会福祉施設等において介護等の実務経験が1 年以上ある者)
- 社会福祉施設等において介護等の実務経験が1年以上あり、介護福祉士または介護職員初任者研修の課程を修了した者と同等の資格を有する者
- 社会福祉施設等において 2 年以上介護等の実務に従事した者
静岡県
愛知県
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
- 保育士
- その他、保健、医療、福祉に係る資格または実務経験から同等の能力を有すると知事が認めた者
関西地方
三重県
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
- その他、保健・医療・福祉に係る資格又は実務経験から同等の能力を有すると認められる者
滋賀県
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
京都府
常勤おおむね2年以上、非常勤おおむね400日以上の実務経験のある
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
大阪府
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
兵庫県
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
- 在宅介護センターまたは地域包括支援センターで高齢者の相談業務に2年以上従事した経験のある者
奈良県(通所介護のみ確認)
- 介護支援専門員
- 福祉・医療・保健のいずれかの分野において介護または相談業務の実務経験が2年以上あり、次のいずれかの資格を有するもの
ア)介護福祉士
イ)看護師・準看護師
ウ)保健師
エ)理学療法士
オ)作業療法士
カ)言語療法士
キ)柔道整復士
- 福祉・医療・保健のいずれかの分野において介護または相談業務の実務経験が2年以上あり、次のいずれかの要件を満たす者
ア)介護職員実務者研修修了者
イ)介護職員初任者研修修了者
ウ)介護職員基礎研修修了者
エ)訪問介護員養成研修1・2級修了者
オ)理学療法士
カ)作業療法士
キ)言語療法士
ク)柔道整復士
和歌山県
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
- その他同等以上と認められる能力を有する者(介護業務の実務経験が1年以上ある者)
中国地方
鳥取県
- 介護保険事業所において3年以上の実務経験のある者
島根県
岡山県
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
広島県
山口県(求人情報より推測)
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
四国地方
徳島県
香川県
愛媛県
高知県(求人情報から推測)
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
九州・沖縄地方
福岡県 (特別養護老人ホームを除く)
佐賀県
長崎県(求人情報から推測)
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
熊本県
大分県
宮崎県(求人情報より推測)
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
鹿児島県
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
沖縄県
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
介護福祉士が生活相談員の採用を勝ちとる方法
ほとんどの都道府県で介護福祉士を生活相談員として配置できることになっています。
とはいえ、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持っている方が採用に有利なのも事実。
ここでは、介護福祉士資格のみの人が生活相談員の採用を勝ち取る方法をご紹介します。
働いている施設で配置転換を狙う
一番可能性が高い方法は、今の職場で配置転換をしてもらうことです。
生活相談員は任される仕事の量や責任が多く、向き不向きがはっきりしています。
向いている人にとっては天職ですが、離職率も高め。
また、生活相談員を経験したあと、さらなるキャリアアップを求めて転職していく人も多くいます。
空席が出たらまっさきに声をかけてもらえるよう、施設長や管理者に『生活相談員志望』であることを伝えておきましょう。
大切なのは、介護職員のうちから接遇を意識することです。
生活相談員は施設の顔として外部の人と関わるため、一般的なビジネスマナーやコミュニケーションスキルが欠かせません。
利用者だけでなく、面会に来た家族やケアマネジャーに対しても丁寧な対応を心がけておくことで、「次の生活相談員はあの職員が適任」と思ってもらいやすくなります。
積極的に求人に応募する
ハローワークも良いですが、求人サイトに登録しておくと、良い求人が出たときに担当者が個別に連絡してくれます。
求人情報の給与の記載って、月給20万〜25万円みたいな書き方で「じゃあ、自分はいったいいくらもらえるんだ?」って思いませんか?
でも、いざ面接の場面になると、面接官にいきなり給与の詳細は聞きづらいですよね。
また、生活相談員は介護職員と兼務する施設も多いため、実際に就職してみたら介護の仕事ばかり求められた、なんてことも。
求人サイトなら、あらかじめ希望の働きかたを担当者に伝えておくことで、条件に合った求人を紹介してくれます。
介護福祉士が生活相談員になるメリット
介護福祉士として現場経験を踏んでいることは、とても大きなメリットになります。
相談業務に介護の経験を活かせる
生活相談員は特別養護老人ホームや通所介護事業所(デイサービス)に配置され、介護が必要になった人やその家族の相談を受ける仕事です。
介護福祉士の勉強や現場経験から、より実践的な助言を行うことができます。
スタッフとの連携がスムーズにできる
大学卒業後、社会福祉主事任用資格などでそのまま生活相談員になった人に比べて、介護福祉士ルートの人が有利な点は、現場の視点を持っていることです。
もちろん、生活相談員は利用者本位の対応をする必要がありますが、介護職員の協力なしに良い支援は提供できません。
「認知症が進行して帰宅願望が強い人がいる。あの介護職員さんは認知症対応に長けているから、ほかのスタッフに向けた研修をお願いしよう」
など、現場経験があることで他の介護職員が困っていることにも気づきやすく、課題解決に向けてお互いに協力し合うことができます。
利用者の情報をどのように伝えたら介護職員がやる気を出してくれるかも分かります(笑)
介護福祉士が生活相談員になるデメリット
給料が低くなる可能性がある
介護職員には、介護福祉士の資格手当の他に処遇改善加算も支給されています。
生活相談員と介護職員を兼務する場合はひきつづきもらうことができますが、専従の場合は処遇改善手当の対象外です。
そのため、介護福祉士が生活相談員になると、介護職員時代よりも給料が低くなってしまう可能性があります。
生活相談員に対する手当や昇給の規定があるか、勤めている職場にしっかりと確認しておくことが必要です。
任用要件から外れる可能性がある
厚生労働省令による生活相談員の要件は、社会福祉士か精神保健福祉士の国家資格、あるいは社会福祉主事任用資格を持っている人です。
生活相談員になる前、私は児童福祉法に定める放課後等デイサービスで児童発達責任者として働いていました。
しかし、任用要件の変更によって、介護福祉士資格のみだった私は役職を降りることになってしまいました。
あのときのような悔しい経験は二度としたくない。
デイサービスの生活相談員として採用されてからは、働きながら勉強を重ね、社会福祉士を取得しました。
介護福祉士は生活相談員になれる?まとめ
ほとんどの都道府県で介護福祉士資格のみでも生活相談員になれます。
しかし、介護職員とは比べ物にならないくらい、生活相談員の求人数は少なく、狭き門です。
介護福祉士が生活相談員になるためには、介護現場での経験を活かせる人材であることをアピールし、採用を勝ち取る必要があります。
実際に生活相談員として働いてみて「自分に合っている」「やりがいのある仕事だ」と感じることができたら、ぜひ社会福祉士や精神保健福祉士の資格取得にも挑戦してみてください。